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大阪体育大学 ラグビー部 / 大学選手権、関西大学リーグ

1968年に同好会が発足、1977年から「世界のサカタ」こと坂田好弘監督を迎えて1985年に関西大学リーグ初優勝、以降は同志社大学京都産業大学とともに関西を引っ張る。「ヘラクレス軍団」と呼ばれ恐れられた。

大学選手権ではベスト4が3回、明治大学に対しては4勝4敗。2006年は関西勢2チームが準決勝に進出、国立競技場で先に戦い敗れた京都産業大学の選手たちからエールをもらってグラウンドに出ていくようすは印象的だった。ただ、2013年を最後に出場できていない。

関西大学リーグでは優勝5回。1985年は同志社大学のリーグ戦の連勝を71で止めての初優勝となった。最近では2003〜2007の4年間は優勝を含めて3位以上をキープした。2015年に初めてBリーグに降格して以来ABを行き来するが、まずはAリーグ復帰を目指す。

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ジャージのイメージ

ラグビーマガジン 2021年 03 月号 [雑誌] 

 

大学選手権

戦績

結果と勝敗、勝率

優   勝:0回
準 優 勝:0回
ベスト4:3回(1987,1989,2006

出   場:27回

勝   敗:6勝31敗0分
勝   率:.162

大学別通算対戦成績

vs明治大 4勝4敗
vs早稲田 0勝9敗
vs慶応大 0勝3敗
vs筑波大 0勝1敗
vs日体大 0勝1敗

vs東海大 0勝1敗
vs流経大 1勝1敗
vs日本大 0勝2敗
vs法政大 0勝3敗
vs中央大 1勝1敗
vs大東大 0勝1敗
vs関東学 0勝2敗

vs天理大 0勝1敗
vs京産大 0勝1敗

過去の成績(2015〜)

2015 出場なし

2016 出場なし
2017 出場なし
2018 出場なし
2019 出場なし
2020 出場なし

仲間を信じて――ラグビーが教えてくれたもの 村上晃一著 (岩波ジュニア新書) 

 

主なメンバー

主なOB

村上晃一:1986年度副将。鴨沂高出身CTB,FB。
     ラグビージャーナリスト、解説者。
瀬川智広:明石西高出身SH。東芝で選手,監督
     として活躍。元7人制日本代表HC。
     2020に摂南大監督就任。
高橋一彰:1989年度主将。RWC1991出場。
     日本代表キャップ21。啓光学園出身
     PR。トヨタで選手,監督として活躍。
大原勝治:日本代表キャップ6。大工大高出身
     SH。トヨタで活躍。
織田己知範:日本代表キャップ5。東海大仰星
     出身WTB。ワールドで活躍。
豊山昌彦:RWC2003出場。日本代表キャップ
     24。江の川高出身PR。トヨタで選手,
     コーチとして活躍。
菊谷 崇:RWC2011主将として出場。日本代表
     キャップ68。御所高出身FL,No8
     トヨタで活躍。
久住辰也:RWC2007出場,日本代表キャップ3。
     関西創価高出身WTB。トヨタで活躍
猪瀬佑太:日本代表キャップ6。常総学院出身
     PR。NECで活躍。
平瀬健志:2006年度大学選手権ベスト4時主将。
     東海大仰星出身WTB。ドコモでも
     主将を務めるなど活躍。

Number(ナンバー)1020号[雑誌] 大学ラグビー 主将に学べ 

 

関西大学リーグ

戦績

結果

優勝 5回(1985,1987,1989,1991,2006)

1位 5回(11.1%)
2位 4回(  8.9%)
3位 9回(20.0%)
4位 8回(17.8%)
5位 7回(15.6%)
6位 4回(  8.9%)
7位 5回(11.1%)
8位 3回(  6.7%)

最近の成績(2015〜)

2015 Bリーグ1位(19-56関学大、B残留)

2016 Bリーグ1位(10-10関西大、B残留)
2017 Bリーグ1位(28-17摂南大、A昇格)
2018 1勝6敗 7位(39-10龍谷大、A残留)
2019 1勝6敗 8位(21-43関西大、B降格)
2020 Bリーグ1位(入替戦は実施されず)

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関連リンク 

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中央大学 ラグビー部 / 大学選手権、関東大学リーグ戦

1924年創部の古豪。関東大学リーグ戦創成期に中心的役割を果たした。また、小野澤宏時、長谷川慎、眞壁伸弥ら日本代表に欠かせない選手を輩出。

大学選手権では、1968,1972年度のベスト4がこれまでの最高位となっている。出場は17回、最後の出場は2016年度。また、通算7勝のうち6つは関西のチームに勝利したものである。

関東大学リーグ戦では1972年に優勝を経験しているが、近年は中位に位置することが多く2018,2019は最下位。2020年度は5位と盛り返した。ジャージは紺、青、白。

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ラグビーマガジン 2021年 03 月号 [雑誌] 

 

大学選手権

戦績

結果と勝敗、勝率

優   勝:0回
準 優 勝:0回
ベスト4:2回(1968,1972

出   場:17回(直近の出場2016

勝   敗:7勝20敗1分
勝   率:.259

通算対戦成績

vs明治大 0勝3敗
vs早稲田 0勝4敗
vs慶応大 0勝1敗
vs帝京大 0勝1敗
vs日体大 1勝0敗

vs流経大 0勝1敗
vs法政大 0勝1敗
vs関東学 0勝1敗

vs同志社 1勝4敗1分
vs京産大 1勝3敗
vs関西大 1勝0敗
vs大体大 1勝1敗
vs龍谷大 1勝0敗
vs京都大 1勝0敗

過去の成績(2015〜)

2015 プール戦敗退

2016 3回戦敗退
2017 出場なし
2018 出場なし
2019 出場なし
2020 出場なし

ラグビートップリーグ カラー名鑑2021【ポケット判】 (B.B.MOOK1514) 

 

主なメンバー

主なOB

綿井永寿:現松山北高出身FL。日体大の監督
     として1969年に日本選手権優勝。
     のちに日体大学長を務めた。
今里良三:日本代表キャップ23。元日本代表
     監督。報徳学園出身SH。近鉄で選手,
     監督として活躍。
村田義弘:日本代表キャップ11。元中央大監督.
     専大松戸出身No8。リコーで活躍。
     宿澤ジャパンでFWコーチを務めた。
長谷川慎:RWC1999,2003出場。日本代表
     キャップ40。東山高出身PR。サン
     トリーで活躍。RWC2019FWコーチ.
小野澤宏時:RWC2003,2007,2011出場。
     日本代表キャップ81。静岡聖光学院
     出身WTBサントリーなどで活躍。
塚越 賢:日本代表キャップ9。埼工大深谷出身
     HO。東芝で活躍。
藤田 望:RWC2011出場,日本代表キャップ14。
     埼工大深谷出身PR。ホンダで活躍。
長友泰憲:日本代表キャップ9,元7人制日本代表.
     高鍋高出身WTB,サントリーで活躍。
真壁伸弥:RWC2015出場。代表キャップ37。
     仙台工出身LO。サントリーで活躍。
羽野一志:7人制日本代表,リオ五輪出場。西陵高
     出身FB。NTTコムで活躍。

第100回 全国高校ラグビー 選手権大会 決算号 (ラグビーマガジン2021年02月号増刊) 

 

関東大学リーグ戦

戦績

関東大学リーグ戦創設以来、一度も2部降格はない。優勝は1972年に1回、近年では2013年に2位、2015年に3位になっている。

結果

優勝 1回(1972)

1位   1回(  1.9%)
2位   8回(14.8%)
3位   7回(13.0%)
4位   9回(16.7%)
5位   8回(14.8%)
6位 11回(20.4%)
7位   6回(11.1%)
8位   4回(  7.4%)

最近の成績(2015〜)

2015 3位 5勝2敗

2016 4位 3勝4敗
2017 5位 3勝4敗
2018 8位 0勝7敗(47-29関東学 1部残留)
2019 8位 1勝6敗(52-24立正大 1部残留)
2020 5位 2勝4敗1分

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関連リンク  

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専修大学 ラグビー部 / 大学選手権、関東大学リーグ戦

1929年創部の古豪。1957年から関東大学対抗戦に参加しており、リーグが分裂した1967年からは関東大学リーグ戦に属し現在に至る。黄金期には、村田亙伊藤護ら多くの日本代表選手を生んだ。

大学選手権は出場9回、ベスト4が3回。直近3回の出場は1995,1996,2000年、いずれも1回戦で同志社大学と対戦し敗れている。2000年を最後に大学選手権出場はない。

1980年代までに関東大学リーグ戦を5度制しているが、2003年以降は長く2部戦うことになる。2018年に1部に復帰し、2019年は5位ながら上位校との接戦も多かった。2020年は24年ぶりに大東文化大学を破るも1勝6敗で最下位。ジャージは緑と白。

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ラグビーマガジン 2021年 03 月号 [雑誌] 

 

大学選手権

戦績

結果と勝敗、勝率

優   勝:0回
準 優 勝:0回
ベスト4:3回(1973,1977,1981

出   場:9回(直近の出場2000

勝   敗:3勝9敗
勝   率:.250

通算対戦成績

vs明治大 0勝2敗
vs早稲田 0勝2敗

vs天理大 1勝1敗
vs同志社 0勝4敗

vs中京大 1勝0敗

vs福工大 1勝0敗

過去の成績(2015〜)

2015 出場なし

2016 出場なし
2017 出場なし
2018 出場なし
2019 出場なし
2020 出場なし

ラグビーボールが空から落ちてきた 59歳と5ヶ月でラグビーを始めた男と父の記憶 

 

主なメンバー

主なOB

小西義光:日本代表キャップ23。高鍋出身SH。
     サントリーでは主将としても活躍。
村田 亙:RWC1991,1995,1999出場。東福岡。
     日本代表キャップ41。東芝,フランス
     などで活躍。現専修大監督。
安田 昇:1995年度主将。日本代表キャップ2。
     啓光学園出身HO。ワールドで活躍。
大東 毅:1996年度卒。北見北斗出身FL。
     NECで活躍。現専修大HC。
伊藤 護:1997年度主将,日本代表キャップ16。
     秋田工業出身SH。東芝で活躍。
     現國學院大監督。
吉田尚史:RWC2003選出,日本代表キャップ4。
     長崎北出身FB,サントリー等で活躍。
馬屋原誠:1997年度卒,大磯出身LO。196cm。
     NTTコムで活躍。
八役大治:2008年度卒。天理出身CTB。
     高3の大工大戦のビッグタックルで
     一躍有名に。トヨタで活躍。

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関東大学リーグ戦

戦績

結果

優勝 5回(1968,1973,1975,1982,1989)

1位 5回 12.5%
2位 7回 17.5%
3位 3回   7.5%
4位 5回 12.5%
5位 6回 15.0%
6位 4回 10.0%
7位 6回 15.0%
8位 4回 10.0%

最近の成績(2015〜)

2015 1勝6敗 7位(7-22関東学 2部降格)

2016 2部(5勝2敗 3位)
2017 2部(7勝0敗 1位:43-38関東学 1部昇格)
2018 2勝5敗 7位(42-24東洋大 1部残留)
2019 3勝4敗 5位
2020 1勝6敗 8位(入替戦なし)

ラグビートップリーグ カラー名鑑2021【ポケット判】 (B.B.MOOK1514) 

 

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【独断】ベスト15 … 関東大学対抗戦Aグループ 2020

概要

2020年度の関東大学対抗戦は、例年通り8チームによる総当たり戦が行われ、明治大学(6勝1敗)の優勝で幕を閉じた。直接対決の結果により早稲田大学(6勝1敗)は2位、3位は慶應義塾大学、以降の順位は帝京大学筑波大学日本体育大学立教大学青山学院大学と続いた。

関東大学対抗戦ではベスト15の発表はないが、個人的に素晴らしいと感じた選手を称える意味でも独自に選出。

ラグビーマガジン 2021年 03 月号 天理初優勝 [雑誌] 

 

ベスト15予想

FW フォワード

1 PR 近藤芽吹 / 帝京大4年

第一列のメンバーが固定されない中で、今季の帝京大学スクラムを支えた。新潟工業高校での先輩である日本代表の稲垣啓太には何度もアドバイスをもらい、スキルを身につけたほか何より自信が芽吹いた。

2 HO 原田衛  / 慶応大3年

相手ゴール前でのモールやラックから再三トライ、合計11トライはリーグ最多。とくに帝京大学戦では、10点のビハインドからラインアウトモールからのトライを2つ続けて決めて同点に追いついた。全7戦をスタメンで出場し、安定したスローイングやしっかり組み止めるタックルでも貢献した。

3 PR 小林賢太 / 早稲田4年

大学選手権決勝におけるダミーパスを交えたランでのビッグゲインが記憶に新しいが、実は関東大学対抗戦筑波大学戦でも同様のプレイを見せている。スクラムでの貢献だけでなく、明治大学戦で抜け出したSH小西泰聖(早稲田2年)からつないでトライを決めたシーンに代表されるように、いち早くサポートに入ることができるプレイヤーだ。

4 LO 片倉康瑛 / 明治大4年

ラインアウトやモールのコントロール、献身的なサポートの動きなどで貢献した。ラインアウトを研究し実践し修正していく、彼のおかげで学生全体のラインアウトのレベルが上っていったのではないだろうか。

5下川甲嗣 LO  / 早稲田4年

常に冷静で状況を分析しながらプレイする副将。ラインアウトで中心的な役割を果たしたほか、つなぎやサポートなど献身的なプレイでチームに潤滑油となった。

6 FL 相良昌彦 / 早稲田2年

早明戦での熱いプレイは見応えがあった。劣勢であっても気持ちを前に出した激しく突破を図った姿勢は周りにも響いただろう。出足の早いタックルでは、狙いをすましてつかみかかる。

7 FL 山本凱 / 慶応大3年

出足が早く躊躇なく捕まえにいくタックルは、相手の両膝をつかんで相手の次の動きを封じてしまう。そのために、相手のノットリリースザボールやジャッカルにつながっていく。全試合スタメン出場で、最終戦帝京大戦では逆転サヨナラトライを決めた。

8 No8 箸本龍雅 / 明治大4年

早明戦ではタックルを受けつつ体を伸ばして先制トライ、そのあとはアタックラインに切れ込んでのビッグゲインで2つのトライの起点となった。ボールを運ぶほか、主将として精神的にもチームを「前へ」すすめる推進力となった。

丸尾崇真(早稲田4年)も主将としてチームを引っ張り、アタックの起点となった。

ラグビートップリーグ カラー名鑑2021【ポケット判】 (B.B.MOOK1514) 

 

BK バックス

9 SH 飯沼蓮 / 明治大3年

テンポよくパスを散らすことができるのは、視野が広いこともあるだろう。全戦スタメンで出場して、4トライ。流れやテンポを変えるなど戦略的にSHを途中交替させるチームは多いが、リザーブにSH専門の選手を入れない試合もあるほど絶大な信頼がある。

10 SO 吉村紘 / 早稲田2年

パスにキックに安定したプレイを見せたが、前半戦ではキックパスなど意表を突く攻撃もあった。また、プレイスキッカーとしてもPGを含めたキックの成功率は76.3%とまずますの結果。

山田雅也(筑波大4年)は6戦でスタメン、好ランナーが揃うBK陣を操った。キッカーとしてはPG含め24ゴール、77.4%といい数値を残した。

11 WTB 尾崎泰雅 / 帝京大4年

強さと速さ、さらにトライへの嗅覚を兼ね備える。敗れた早慶明の3試合全てでトライを決めており、劣勢や接戦でも力を発揮するところは心強い存在だ。6戦にスタメン出場し(うち2試合は13番で出場)、対抗戦2番目となる9トライを奪った。

12 CTB 岡﨑航大 / 筑波大4年

トライ数は2と少ないが、何度もラインブレイクしてトライへつながる起点となった。明治大学戦では、ゴール目前までボールを運んだり、トライのラストパスをつなげたりとチームを支えた。さらに主将としてチームをまとめ、6戦にスタメン出場。

13 CTB 児玉樹 / 明治大3年

190cmの大型BKは5戦でスタメン出場、相手を引きつけて周りにスペースをつくった。大柄だがパスもうまく、ときおりロングパスも見せる。

14 WTB 石川貴大 / 明治大4年

スタメンは11番と14番で2戦ずつの出場にとどまったが、トライは5つ。トライの生まれそうなところに常に顔を出す。また、大股のランは力強く、相手に飛ばされない強さがある。

15 FB 松永貫汰 / 筑波大3年

自陣からでも相手陣深くまで切り裂くランは見事、明治大学戦などトライにつながるゲインが多数見られた。細かいステップをするのではなく、瞬時にベストなランコースを判断してスピードに乗って抜き去っていく。

5戦でゲームキャプテンを務めた奥村翔(帝京大4年)は、プレイスキッカーとしてもPG含めて48本のゴールを成功、決定率は81.4%と高い数字を残した。そのほか、全戦スタメンでキッカーも務めた山田響(慶応大1年)や複数のポジションでマルチに活躍したハラトア・ヴァイレア(日体大3年)も注目すべき存在だ。

キレのあるステップを見せた河瀬諒介(早稲田3年)はスタメン3戦、冴えたキックなどチームに安定感を与えた雲山弘貴(明治大2年)はスタメン2戦と出場数が少なかった。

第100回 全国高校ラグビー 選手権大会 決算号 (ラグビーマガジン2021年02月号増刊) 

 

関連リンク 

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天理大学ラグビー部 小松節夫監督 … 「自律」を促す指導で大学選手権初制覇

2021年1月11日に行われた「第57回全国大学ラグビーフットボール選手権大会」決勝、天理大学早稲田大学を破り初優勝、就任26年目の小松節夫監督が宙を舞った。

ここまでの道のりはトントン拍子ではなかったが、学生日本一にまで登りつめたのは小松監督の揺るがぬ信念があったからにほかならない。「自由と責任」について考え「自律」につなげることの重要性など、身をもって体験したことを生かすべく実践してきたからであっただろう。

こういった信念に基づいた指導は、教育の現場にとどまらず仕事で上に立つ人にとっても必要とされるものである。しかし、「自律」を促す指導ができている大人が多いとは思えないのは、多くの大人自身がそういった指導を受けてこなかったからでもある。小松監督のこれまでの歩みを確認しながら、「自律」を促す指導を探ってみたい。

ラグビーマガジン 2021年 03 月号 天理初優勝  [雑誌] 

 

「しんどい3年間」への疑問

1963年に天理市に生まれた小松監督は、小学4年生でラグビーを始めると、天理中学時代には無我夢中でラグビーを楽しみながら近畿大会を制した。天理高校にすすむと、当時の多くの強豪校がそうであったように管理された練習によって「しんどい3年間」を過ごしたと言う。全国制覇はならなかったものの、高校3年次には主将を務めて高校日本代表にも選ばれた。しかし、この高校時代の経験が留学を決断するきっかけになったであろうとこは想像に難くない。

フランスでは、名門ラシン・クラブのジュニアチームで2年間を過ごした。ここでは試合は毎週あるものの、練習は週に1,2回しかなく練習のない日は各自で自主練習を行った。各自でフィジカルやスキルを上げて、何度かの練習で周囲と合わせていき、試合に臨むといった格好だ。日本での管理された練習とは全く違い「自律」が求められ、「自分で考えること」「自由な発想」を学んだ。

自由とは好き放題にすることではなく、自己責任によって行動するということである。「自由」が責任感や自律的行動につながることを学び体験した貴重な2年間となった。

rugby-rp.com

 

故・岡仁詩監督の同志社大学

帰国後、1984年に同志社大学に入学。同志社大学は1982,1983年と大学選手権を連覇しており、この年に3連覇を達成する。当時、そのチームを率いていたのが『型に学んで型にはまらず』と自由なラグビーを掲げる故・岡仁詩監督だった。同志社大学での4年間が、フランスでの経験を具現化し言語化していったのかもしれない。

岡監督は多感な時期に戦争を迎え、当時を「個人が国家という組織の中に埋没していた」と振り返る。終戦に伴って世の中が変わり、自分で考えることができていないことに気づいたという。それから、スポーツでも型に束縛されず自由な発想や創造によって発展できるという信念のもと、「こうしろ」とは言わずに選択肢を与えたり考えさせる指導にこだわってきた。

 小松監督自身が岡監督について言及している資料は見当たらなかったが、多くの記事に目を通すと幾分かの岡イズムを継承しているものと思われる。

<参考:教わり教え教えられ/岡仁詩 キリスト教文化センター│京都 同志社大学

東洋の魔女

ここで余談をひとつ。実施が危ぶまれている東京オリンピックだが、1964年に行われた最初の東京オリンピックにおいて、「東洋の魔女」で知られる女子バレーボールチームが球技初の金メダルを獲得した。「俺について来い」と引っ張る大松博文監督のもと、深夜におよぶような長時間に渡る猛練習の賜物であった。ちなみに、大松監督は第二次世界大戦インパール作戦からの数少ない帰還者でもある。

日本の歴史をつくった大松監督の指導ではあったが、有無を言わさぬ猛練習が正しいものという認識をもった人が多かったのかもしれない。岡仁詩流に言えば、「ひとつの成功例に束縛されてはならない」といったところだろうか。

第57回全国大学ラグビーフットボール選手権大会プログラム 

 

天理大学ラグビー部の指導へ 

大学卒業後、日新製鋼で5年間ラグビーを続けたあと、天理大学ラグビー部のコーチに就任する。古豪天理大学は大学選手権に29回目の出場、1970年代前後には13年連続で出場した時期もあった。しかし、小松監督がコーチとして就任した1993年というのは、大学選手権どころか1991年にAリーグ最下位で入替戦に敗戦、翌1992年はBリーグで2勝4敗1分の7位、入替戦で京都大学に26-29で敗れてCリーグへの降格が決まっていた。

Bリーグへは1年で復帰、1995年の監督就任のシーズンにはBリーグで全勝優勝、しかし入替戦で跳ね返された。挑戦を繰り返して、ついに2001年に11年ぶりのAリーグ復帰を果たす。このあと、2005年に21年ぶりの大学選手権出場、2010年には35年ぶりの関西リーグ制覇、さらには2011年には大学選手権準優勝を遂げるなど躍進を続けた。そして、今年の大学選手権初制覇である。

 

この間の指導については、10年の前のインタビュー記事によく表れている。例えば、選手の練習態度が悪い場合に干すことはせず、練習を真面目にやる選手とやらない選手で具体的にどういう差がでるのかを説明するという。小松監督は、全ての選手に試合に出せる出せないの具体的理由をもっている。

ほかにも、チームの決め事に従わなかったとしても、自分なりの考えを持ってのことであれば「よくやった」と評価する。選手の発想を尊重することも大切だし、外から見ていてはわからないグラウンドレベルならではの判断があるかもしれない。ただ、従わなかったことに対して叱ることはないが、なぜそうしたかの理由が言えるようであってほしいとのことだ。

rugby-rp.com

 

理想の上司

小松監督は、人当たりが優しく口調も穏やかだ。グイグイ引っ張るのではなく、自主性を重んじながらも選手をよく観察、必要なときには理を持って説明する。児童文学作家の故・灰谷健次郎さんの作品で言うところの「添う」という表現がしっくりくる。現代の若者への指導は叱らないことが求められるため、小松監督が企業におられたとしたら人気の上司となっていたのではないだろうか。

不景気にあっては、叱らずに丁寧に説明をすることは時間も労力もかかることであり、余計なコストと捉えることもあるかもしれない。小松監督のようなリーダーが脚光を集めることで、自主性を重んじて丁寧に説明することの価値を見直す人が増えることを望む。

第100回 全国高校ラグビー 選手権大会 決算号 (ラグビーマガジン2021年02月号増刊) 

 

参考URL

doyusha.jp

 

関連リンク 

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f:id:daigakurugby:20210122151622j:plain

 

【予想】ベスト15 … 関西大学ラグビーAリーグ 2020

概要

2020年度の関西大学ラグビーは、期間短縮を余儀なくされた。それに伴い、8チームを4チームずつの2グループに分けて総当たり戦を実施、各グループの同順位同士が順位決定戦を行うこととなった。公式戦としては4試合である。

こういった状況にあって、例年通りにベスト15の選出があり表彰が行われるかは不明だが、個人的にベスト15に相応しいのではと思う選手を書いてみたい。

昨年までのベスト15は次の通り。

daigakurugby.hatenablog.com

ラグビーマガジン 2021年 03 月号 天理初優勝 [雑誌] 

 

ベスト15予想

FW フォワード

1 PR 谷口祐一郎 / 天理大4年

順位決定戦の同志社戦では、序盤にサイドアタックからのビッグゲインで直後のトライにつなげて関西5連覇を手繰り寄せた。視野が広いことから、動き出しのよさやランコースの見極めにつながっているのではないだろうか。

2 HO 竹内海斗  / 関学大4年

FWでどんどん勝負を挑んでいく関学大の核となっただけでなく、主将としてもチームを鼓舞し引っ張り続けた。4トライはリーグ最多タイ。

同じく4トライの佐藤康(天理大3年)、相手ゴール前でのモールやラックからのトライを奪う嗅覚に優れており、何度もインゴールに飛び込んだ。

3 PR 小鍛冶悠太 / 天理大4年

同志社戦ではターンオーバーからのビッグゲインもあったが、アタックのサポートなど地味なところでいい働きを見せ続けるプレイは健在。

4 LO 田中利輝 / 京産大4年

いち早くサポートに駆けつけて、献身的に体を張り続ける主将。2戦はFLでの出場となったが、プレイでチームに勇気を与えた。

ラインアウトの中心でもあった187cmの田中雄太郎(立命館4年)は、順位決定戦の摂南大戦で4トライをあげるなど活躍を見せた。

5 LO アシペリ・モアラ / 天理大3年

相手ゴール前ではディフェンスを引きずってでもゲインしたりインゴールに到達、天理大のFWの推進力となった。4番で1試合、5番で2試合、8番で1試合の先発出場で3トライ。

6 FL 中尾泰星 / 同志社4年

出足の早いタックルを繰り返すなど行動によってチームに影響を与える主将、天理大戦でのチーム初トライとなるアタックは鬼気迫るものがあった。

7 FL 松岡大和 / 天理大4年

頼れる主将は大きな声でチームを鼓舞し続けるだけでなく、タックルにサポートに倒れては起きる姿でもチームを引っ張った。

城間賢(京産大4年)は攻守に活躍、4戦で2トライをあげた。

8 No8 山村勝悟 / 天理大2年

アタックでは簡単に倒れず前に進むシーンが何度も見られた。タックルを受けても、もう一歩先へという意識が強く感じられる。

木原音弥(同志社3年)、ヴェア・タモエフォラウ(京産大1年)、庄司拓馬(立命館4年)ら好選手が多かった。

ラグビートップリーグ カラー名鑑2021【ポケット判】 (B.B.MOOK1514) 

 

BK バックス

9 SH 藤原忍 / 天理大4年

テンポよくフラットなパスを次々に放り込む一方で、隙あらば自ら抜け出す動きも素晴らしい。年々磨きがかかっており、3年連続のベスト15に相応しい。

10 SO 松永拓朗 / 天理大4年

多彩なBK陣のよさを引き出す正確なパスのほか、プレイスキッカーとしてもトップクラス。PGを含めたキックの成功率は82.1%と、昨年に続いて80%を超えた。

田村魁世(同志社3年)、西仲隼(京産大2年)、江良楓(立命館3年)らは判断もよく要所でキックを巧みに織り交ぜる、来年も楽しみな存在だ。

11 WTB 和田悠一郎 / 同志社3年

故障明けの京産大戦では、乱れたパスをキャッチしてのトライ、ハイパントのクリーンキャッチ、自らのキックを自らでチェイスしてのトライなど活躍が目立った。2戦2トライと出場は少なかったが、トライを期待されるポジションにだけに11番メインで出場した選手では最多トライであったため選出。

12 CTB 岡野喬吾 / 同志社1年

初戦の関西大戦はWTBで出場、ビハインドからのチーム初トライと後半に逆転トライを決めて勝利の立役者となった。次の立命館戦では、後半早々に10点差に詰め寄られた直後、相手キックをチャージして自らトライを決めるなど勝負を決める2つのトライを奪った。不安のあった序盤戦にチームを勢いづけたルーキーは、4戦全てフル出場して4トライ。

同じく4トライの山口魁生(立命館4年)、キレのあるランを見せる家村健太(京産大2年)らの活躍もあった。市川敬太(天理大4年)はサポートにまわるプレイが多く体を張った。

13 CTB シオサイア・フィフィタ / 天理大4年

今季は3戦で3トライ、昨年の7戦9トライに比べると物足りないようにも見える。しかし、自分で突破するだけでなく、パスも巧みにつなぐなどトライにつながる選択をすることでプレイの幅を広げた。

そのほか、キレのあるランの木田晴斗(立命館3年)や当たり役もランナーもキッカーも務めるヴィリアミ・ツイドラキ(摂南大3年)らのプレイも見応えがある。

14 WTB 山口楓斗 / 同志社3年

戦列に復帰した2戦目の立命館戦では、積極的な動きを見せてトライを決めたほか、キレのよいランからトライにつなげるなど前半から主導権を握るきっかけをつくった。3戦出場して2つのトライ。

土橋源之助(天理大4年)は4戦で2トライ、ライン際でキレのいいランを見せた。

15 FB 奥谷友規 / 関学大4年

全4戦フル出場、後方からの飛び出しで大きくゲインをするシーンが見られた。また、プレイスキッカーとしてもPG含めて16本のゴールを成功させており、その決定率は84.2%と非常に高い。

桑山太一(同志社4年)は4戦スタメンで、同じくキッカーを務めPG含め15本のゴールを決めて78.9%の成功率だった。

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関連リンク 

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ベスト15 … 第57回大学選手権の個人的な大会ベスト15

概要

「第57回全国大学ラグビーフットボール選手権大会」は、天理大学の初優勝、早稲田大学が準優勝となった。ベスト4には明治大学帝京大学が進出。この大会の出場メンバーの中で印象に残った15人を独断で選出した。

天理大学が点差を広げながら優勝したこともあり、天理大学11人、早稲田大学3人、明治大学1人という結果となった。

ラグビーマガジン 2021年02月号 [2大別冊付録:(1)トップリーグ写真名鑑 (2)全国高校大会花園ガイド] 

 

ベスト15

FW フォワード

1 PR 谷口祐一郎 / 天理大4年

天理大のスクラムを支え、また運動量も豊富。ボールが動いたときに目だけでボールを追う選手は多いが、目で追わずにすぐにボールに体を向けているので動き出しが早い。

2 HO 佐藤康 / 天理大3年

やや苦戦すると予想されたラインアウトだったが安定したスローイン、また明治大戦ではゴール前のラックから巧みに押し込んだ。決勝では、相手ゴール前ラックからCTB市川敬太に速いパスを通して先制トライにつなげた。日本大の藤村琉士の活躍もあったが、もう1試合見たかった。

3 PR 小鍛冶悠太 / 天理大4年

スクラムやサイドアタックなど体を張ったプレイでチームに大きく貢献した。一歩食い込んでゲインやFWでのサポートのプレイなどが効いていた。決勝で巧みなパスダミーでトライをアシストした早稲田4年の小林賢太や帝京大4年の細木康太郎の活躍も光った。

4 LO アシペリ・モアラ / 天理大3年

大きな体でパワーもあるが、ボディバランスがよくハンドリングもよい。相手ゴール前ではタイミングのよい飛び出しでトライを奪った。学生のラインアウトのレベルを引き上げた明治大4年の片倉康瑛もいい動きを見せた。

5 LO 中鹿駿 / 天理大4年

タックルにサポートに体を張った。アタックではゲインをしつつ決して無理をしないで確実にボールをつなぐようすは地味ではあるが、テンポのよい攻撃につなげた。明治大4年の髙橋広大も準決勝ではトライにつながる大きなゲインはトライに結びついた。

6 FL 相良昌彦 / 早稲田2年

おとなしく見えた今年の早稲田にあって、貴重な闘争心を表に出すプレイヤー。同ポジションの坪郷智輝の活躍でさらに覚醒したか。ほかには、天理大3年の服部航大はどこにでも顔を出して効果的なサポートをした。

7 FL 松岡大和 / 天理大4年

タックルのほか献身的なプレイでチームに貢献、さらには声でチームを鼓舞し引っ張り続けた。主将としてレフリーとしっかりコミュニケーションをとり、天理大学の反則の少なさにもつなげている。流経大4年の坂本侑翼は献身的な動きとタックルで貢献した。

8 No8 山村勝悟 / 天理大2年

このポジションのベスト15は明治大4年の箸本龍雅のものと思っていたが、決勝まで体を張り続けて随所に突破を見せた山村勝悟を選出。また、関西の交流戦から大学選手権決勝まで10戦連続スタメンはたいしたもの。

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BK バックス

9 SH 藤原忍 / 天理大4年

速いフラットなパスでトライを演出、決勝の前半31分のパスは目一杯の速いパスを通した。また、常に隙をうかがう姿勢があり、準決勝では相手が準備できていないタイミングで速攻を仕掛けてトライにつなげたり、決勝でもスクラムのこぼれ球をすかさず押さえた。

10 SO 松永拓朗 / 天理大4年

持ち前のキックの距離と精度で、天理大学のゲームメイクの中心を担った。プレイスキッカーとしても、関西リーグに引き続き安定したキックを見せた。

11 WTB 古賀由教 / 早稲田4年

常に笑顔でチームのムードをつくってきただけでなく、BKでは唯一の4年生となる時間帯が多く周囲を引っ張った。プレイでも快速で抜き去ってのトライを決めた。天理大1年のマナセ・ハビリはWTBながら強いプレイで体も張れる。

12 CTB 市川敬太 / 天理大4年

決勝での4トライは見事、ゴール前での速いパスをしっかりつかんで確実にチャンスをトライに結びつけた。また、タックルでも貢献した。大学選手権から復帰した帝京大4年のニコラス・マクカランは、準決勝では力強いランでディフェンスを破るトライを決めた。

13 CTB シオサイア・フィフィタ / 天理大4年

年々進化するシオサイア・フィフィタ、今年は最後まで自分で行かずに周りを生かし、ロングパスやグラウンダーのキックも効果的だった。そのほか、早稲田3年の長田智希は再三ゲインを見せてトライへの起点となり、帝京大4年の尾崎泰雅も強さを見せた。

14 WTB 石川貴大 / 明治大4年

準決勝では同ポジションの天理大4年土橋源之助と2トライずつだったが、大股で走り切るランは力強さを感じさせた。早稲田2年の槇瑛人は大外で待って確実にトライを決めるなど役割を果たした。

15 FB 河瀬諒介 / 早稲田3年

河瀬諒介が準決勝、決勝で見せたトライは、相手の人数が余っていながら抜き去ったもの。ボールを持つと期待感がわく選手。ほかには、流経大3年の河野竣太も見せ場をつくった。筑波大戦でのトライのほか、天理大戦では自陣ゴール前からキック、自信でチェイス、さらにキックして一人でトライまで持っていった。さらには、帝京大学4年の奥村翔も好選手。

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