明治大学35-45早稲田大学 … 前半の大量リードは必然か
1/11(土)に「第56回 全国大学ラグビーフットボール選手権大会」の決勝が行われた。決勝の舞台は新国立競技場、カードは明治大学と早稲田大学という注目の試合は、57,345人の大観衆となった。
明治大学優勢の声も多かったが、前半に大きくリードした早稲田大学が逃げ切り、11年ぶり16回目の優勝を飾った。
ラグビーマガジン 2020年 02 月号 [2大別冊付録:(1)トップリーグ2020写真名鑑 (2)全国高校大会花園ガイド]
試合展開
両チームのスタメンは、ともに準決勝と同じくベスメンバーが揃った。
前半
前半9分、早稲田がPGを決めて先制。直後の12分、相手ゴール前まで迫った早稲田は、ラックからこぼれたボールを狭いサイドにまわしてトライを決めて、0-10とする。早稲田がCTB中野将伍を軸にしながら斜めに切り込むなどのアタックでゲインする一方、明治は早稲田の出足のいいタックルに阻まれなかなか前へ出られない時間が続く。
その後は、26分にCTB長田智希が走り込みトライ、34分にはゴール前ラインアウトからモールで押し込み3トライ目。前半終了間際の39分にもトライを加えて0-31、早稲田が31点の大量リードで前半を終える。
後半
後半最初の得点は明治。後半3分にラインアウトからBKに展開し、最後はWTB山村知也がライン側を走りコーナフラッグ際に飛び込んだ。TMOとなるもトライ成立、ゴールも決まり7-31とする。
後半10分に早稲田のトライで差を広げるも、明治大が反撃に出る。16分にはLO箸本龍雅、21分にはSO山沢京平が抜け出し2トライを追加。29分にはライン際を抜けたWTB山﨑洋之がトライ。明治が差を詰め、28-38と10点に迫る。
しかし、後半34分に早稲田がトライを決めて28-45と17点差とすると、勝敗は大きく早稲田に傾く。明治は試合終了間際にトライを返すも、35-45でノーサイドとなった。
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勝敗のポイント
前半からの早稲田の大量リードは、どうして起こったのか。その理由を中心に考えて見たい。
早稲田の多彩なアタックと出足の速いディフェンス
前半から早稲田のアタックは多彩でキレがあり、ディフェンスでも出足が早く簡単にゲインを許さない果敢なプレーだった。これが最大の勝因と言えるだろう。明治は受けにまわった格好で、思うようなプレーをすることができなかった。
しかし、早稲田が前半からCTB中野将伍を軸にアタックを仕掛けてくることは十分に予想できた。明治からすると、予想の範囲を超えていたのか、それとも、SO岸岡智樹のDGのほか、好天ながら屋根の隙間から差し込む光や6万人近い大観衆などが、少しずつ明治を狂わせたのか。
いずれにしても、前半から仕掛けることが勝利への第一歩だった早稲田が、それをやりきった。経験豊富な4年生が揃う今年度、勝ちきらなければならない試合をきっちり勝ち切る素晴らしいゲームをした。
明治のメンタル
明治は、準々決勝の関西学院大の攻撃的なタックルにも屈することなく、準決勝の東海大ではシンビンで7人なったFWが集中力を切らさずゴールを守りきった。
ところが、決勝では前半の失点でパニックになったという。早稲田のアタックのキレがよいとみると、逆に無理なアタックはせず相手のFWを消耗させながら時間を潰して、流れを断ち切ることもできるチームではあるはずだが。
結果論だが、前半で2トライ差ぐらいなら自力に勝る明治なら射程圏だろう。しかし、6万に近い大声援は、1点差を10点差にも思わせるような力があったのかもしれない。
それでもなお、後半に5トライし10点差まで詰めた明治は期待に違わぬメンタルの片鱗を見せた。HO武井日向主将の言う通り「明治の今後に繋げることができた」と言える。
対抗戦との違い
11月にもなると関東対抗戦では毎週のように強敵と戦うが、その最終戦が早明戦であり36-7で明治が快勝していた。
一方、大学選手権はの決勝は、日程の間隔が空くことで体力も回復でき、対策をする時間が十分にあった。早稲田にケガ人の復帰という要素もあったものの、日程的にも早稲田のほうに上積みがあったのかもしれない。
最後に
大学ラグビーはこの決勝戦をもってシーズン終了となったが、大いに楽しませてもらったことに感謝したい。そして、また来年も楽しみにするとともに、わずかでも盛り上がりに力になれたらと思う。