概要
2020年度の関東大学対抗戦は、例年通り8チームによる総当たり戦が行われ、明治大学(6勝1敗)の優勝で幕を閉じた。直接対決の結果により早稲田大学(6勝1敗)は2位、3位は慶應義塾大学、以降の順位は帝京大学、筑波大学、日本体育大学、立教大学、青山学院大学と続いた。
関東大学対抗戦ではベスト15の発表はないが、個人的に素晴らしいと感じた選手を称える意味でも独自に選出。
ラグビーマガジン 2021年 03 月号 天理初優勝 [雑誌]
ベスト15予想
FW フォワード
1 PR 近藤芽吹 / 帝京大4年
第一列のメンバーが固定されない中で、今季の帝京大学のスクラムを支えた。新潟工業高校での先輩である日本代表の稲垣啓太には何度もアドバイスをもらい、スキルを身につけたほか何より自信が芽吹いた。
2 HO 原田衛 / 慶応大3年
相手ゴール前でのモールやラックから再三トライ、合計11トライはリーグ最多。とくに帝京大学戦では、10点のビハインドからラインアウトモールからのトライを2つ続けて決めて同点に追いついた。全7戦をスタメンで出場し、安定したスローイングやしっかり組み止めるタックルでも貢献した。
3 PR 小林賢太 / 早稲田4年
大学選手権決勝におけるダミーパスを交えたランでのビッグゲインが記憶に新しいが、実は関東大学対抗戦の筑波大学戦でも同様のプレイを見せている。スクラムでの貢献だけでなく、明治大学戦で抜け出したSH小西泰聖(早稲田2年)からつないでトライを決めたシーンに代表されるように、いち早くサポートに入ることができるプレイヤーだ。
4 LO 片倉康瑛 / 明治大4年
ラインアウトやモールのコントロール、献身的なサポートの動きなどで貢献した。ラインアウトを研究し実践し修正していく、彼のおかげで学生全体のラインアウトのレベルが上っていったのではないだろうか。
5下川甲嗣 LO / 早稲田4年
常に冷静で状況を分析しながらプレイする副将。ラインアウトで中心的な役割を果たしたほか、つなぎやサポートなど献身的なプレイでチームに潤滑油となった。
6 FL 相良昌彦 / 早稲田2年
早明戦での熱いプレイは見応えがあった。劣勢であっても気持ちを前に出した激しく突破を図った姿勢は周りにも響いただろう。出足の早いタックルでは、狙いをすましてつかみかかる。
7 FL 山本凱 / 慶応大3年
出足が早く躊躇なく捕まえにいくタックルは、相手の両膝をつかんで相手の次の動きを封じてしまう。そのために、相手のノットリリースザボールやジャッカルにつながっていく。全試合スタメン出場で、最終戦の帝京大戦では逆転サヨナラトライを決めた。
8 No8 箸本龍雅 / 明治大4年
早明戦ではタックルを受けつつ体を伸ばして先制トライ、そのあとはアタックラインに切れ込んでのビッグゲインで2つのトライの起点となった。ボールを運ぶほか、主将として精神的にもチームを「前へ」すすめる推進力となった。
丸尾崇真(早稲田4年)も主将としてチームを引っ張り、アタックの起点となった。
ラグビートップリーグ カラー名鑑2021【ポケット判】 (B.B.MOOK1514)
BK バックス
9 SH 飯沼蓮 / 明治大3年
テンポよくパスを散らすことができるのは、視野が広いこともあるだろう。全戦スタメンで出場して、4トライ。流れやテンポを変えるなど戦略的にSHを途中交替させるチームは多いが、リザーブにSH専門の選手を入れない試合もあるほど絶大な信頼がある。
10 SO 吉村紘 / 早稲田2年
パスにキックに安定したプレイを見せたが、前半戦ではキックパスなど意表を突く攻撃もあった。また、プレイスキッカーとしてもPGを含めたキックの成功率は76.3%とまずますの結果。
山田雅也(筑波大4年)は6戦でスタメン、好ランナーが揃うBK陣を操った。キッカーとしてはPG含め24ゴール、77.4%といい数値を残した。
11 WTB 尾崎泰雅 / 帝京大4年
強さと速さ、さらにトライへの嗅覚を兼ね備える。敗れた早慶明の3試合全てでトライを決めており、劣勢や接戦でも力を発揮するところは心強い存在だ。6戦にスタメン出場し(うち2試合は13番で出場)、対抗戦2番目となる9トライを奪った。
12 CTB 岡﨑航大 / 筑波大4年
トライ数は2と少ないが、何度もラインブレイクしてトライへつながる起点となった。明治大学戦では、ゴール目前までボールを運んだり、トライのラストパスをつなげたりとチームを支えた。さらに主将としてチームをまとめ、6戦にスタメン出場。
13 CTB 児玉樹 / 明治大3年
190cmの大型BKは5戦でスタメン出場、相手を引きつけて周りにスペースをつくった。大柄だがパスもうまく、ときおりロングパスも見せる。
14 WTB 石川貴大 / 明治大4年
スタメンは11番と14番で2戦ずつの出場にとどまったが、トライは5つ。トライの生まれそうなところに常に顔を出す。また、大股のランは力強く、相手に飛ばされない強さがある。
15 FB 松永貫汰 / 筑波大3年
自陣からでも相手陣深くまで切り裂くランは見事、明治大学戦などトライにつながるゲインが多数見られた。細かいステップをするのではなく、瞬時にベストなランコースを判断してスピードに乗って抜き去っていく。
5戦でゲームキャプテンを務めた奥村翔(帝京大4年)は、プレイスキッカーとしてもPG含めて48本のゴールを成功、決定率は81.4%と高い数字を残した。そのほか、全戦スタメンでキッカーも務めた山田響(慶応大1年)や複数のポジションでマルチに活躍したハラトア・ヴァイレア(日体大3年)も注目すべき存在だ。
キレのあるステップを見せた河瀬諒介(早稲田3年)はスタメン3戦、冴えたキックなどチームに安定感を与えた雲山弘貴(明治大2年)はスタメン2戦と出場数が少なかった。
第100回 全国高校ラグビー 選手権大会 決算号 (ラグビーマガジン2021年02月号増刊)
関連リンク