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白鵬 のエルボーは即刻禁止に … 脳震盪のリスクと相手へのリスペクト

2021年の名古屋場所照ノ富士白鵬の全勝対決、負けた照ノ富士横綱審議委員会の全会一致で横綱へ推挙、一方で全勝で優勝した白鵬にはケチがついた。白鵬照ノ富士に対して右肘を顔面に打ちつける行為に出るなどしたことが、取り沙汰されている。

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相撲 2021年 08 月号 [雑誌] 

 

ケチがついた中でも最大の問題は

さまざまな問題のある言動は今に始まったわけではないが、中でも今すぐにでもやめるべきなのは、「エルボー」である。この立ち会いで右肘を相手顔面に打ちつける行為は、これまでに何度も繰り出しており、勢や栃煌山、妙義龍ら何人もの力士が脳震盪を引き起こしている。

ガッツポーズはいけないなど品格に関する問題もあるが、相手に脳震盪などの重大なけがをさせる可能性がある「エルボー」は別枠で考えるべき問題であるように思う。

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他競技では

脳震盪については、各競技でその危険性への理解や対策はすすんでいる。今やラグビーのようなコンタクトの多いスポーツはもちろん、サッカーや野球でも「6段階の復帰プログラムを経た上でなければ競技に戻ることはできない」というガイドラインは当たり前のものになっている。経過観察とともに短期間の再度の衝撃によるリスクを避けるためでもある。各段階とも1日以上を要するので、最短でも復帰までに6日かかる。そのため、プロ野球では特例の出場選手登録制度を設けるなど、速やかに正しい処置を受けられるような環境が整いつつある。

 

大相撲では

相撲界においても、今年3月に脳震盪で倒れた力士が1か月後の4月末に亡くなるというショッキングな出来事があったばかりだった。このときは、5分以上医療措置が取られることなく、以降の対応が求められることとなった。

また、この名古屋場所の2日目には、白鵬内弟子にあたる炎鵬が貴源治の張り手を受けて脳震盪を起こした。取り直しとなった一番は止められて不戦敗となったものの、翌日から自らの意志により出場。短期間に再び衝撃を受けることによって脳に重大なダメージを引き起こす可能性がある「セカンドインパクト症候群」を考慮して、出場を止めさせるものはいなかった。

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「エルボー」問題にどう対処すべきか

まずは、肘による顔面への打撃は反則行為とすること。肘が相手の顔面に当たるというのは、とくに立ち会いでは故意でなければなかなかないことだと考えられる。実際に別の取組で見た記憶はない。

他には、取組後にすぐに医療措置に入れる体制を取ること、脳震盪に対するガイドラインを決めることは不可欠。ただ、もし一般的なガイドラインを基本とするとなると、1週間程度は出場できなくなる。脳震盪に対しては、公傷制度のような脳震盪となったことが不利益とならないような制度を設けることも必要だろう。それがなければ、横綱以外は休むことで番付が下がってしまう。

 

白鵬について

白鵬の「品格」については議論を重ねて落としどころを見つけていくのもよいかもしれないが、「エルボー」については相手が何度も脳震盪を引き起こしている行為なので、即刻やめなければならない。脳に重大なダメージを受ける力士が出てからでは遅い。

4月に脳震盪により力士が命を落としたばかりであり、これだけ脳震盪のリスクに対する理解や対応が広まっていることを白鵬が知らないはずはない。これ以上「エルボー」を続けるなら、出場させるべきではないし、親方にもなるべきではないだろう。

相手にリスペクトのない者は、土俵に上がることはもちろん、相撲に関わらないでもらいたい。

  

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