概要
2022年12月4日(日)、国立競技場において第98回の早明戦が行われる。ここまでの両者の成績はともに5勝1敗、勝点は明治大が24、早稲田が23、無敗で勝点30の帝京大が、すでに2年連続11回目の優勝を決めた。昨年の早明戦では、3点リードで折り返した早稲田が、後半明治大を完封、17-7で勝利となった。
今季の明治大
序盤の明治大は、初戦の筑波大とは競った展開になるも後半に突き放しての勝利。また、4戦目の青学大には前半で20点を奪われるなど苦戦したが、5戦目は慶応大を1PGのみに押さえての完勝となった。
6戦目の帝京大戦は全勝対決。しかし、スクラムなどでプレッシャーを受け、ペナルティは16を数えた。4トライを許す一方、CTB廣瀬雄也(3年,東福岡)のインターセプトからのトライが唯一のトライ、13-29で敗れた。
9/10 明治大33-22筑波大
9/18 明治大74- 0日体大
10/ 2 明治大88- 0立教大
10/16 明治大70-27青学大
11/ 6 明治大54- 3慶応大
11/20 明治大13-29帝京大
今季の早稲田
早稲田は、初戦の青学大に前半7-3と僅差の戦いも後半突き放した。2戦目の筑波大戦は一転、前半23-0とリード、後半は追い上げられ23-17で逃げ切った。
4戦全勝同士で迎えた帝京大戦は、2トライを許し1トライを返す展開、じわじわと差を広げられての敗戦。6戦目の早慶戦は前半を0-10とリードを許しながらも、後半は3トライを奪い慶応大をノートライに抑えての逆転勝利となった。
9/10 早稲田38- 8青学大
9/18 早稲田23-17筑波大
10/ 2 早稲田102-0日体大
10/23 早稲田31- 7立教大
11/ 6 早稲田17-49帝京大
11/23 早稲田19-13慶応大
両者の比較
過去20年の勝敗
以下は年度ごとの対戦結果、その年の対抗戦勝敗分の順、丸数字は対抗戦の最終順位(勝敗が並んだ場合に同順位としたもの)。
2002 早24- 0明 早7-0① 明5-2③
2003 早29-17明 早7-0① 明4-3③
2004 早49-19明 早7-0① 明5-2②
2005 早40- 3明 早7-0① 明4-3④
2006 早43-21明 早7-0① 明5-2②
2007 早71- 7明 早7-0① 明5-1-1②
2008 早22-24明 早5-2② 明3-4⑤
2009 早16-14明 早6-0-1① 明3-4⑤
2010 早31-15明 早6-1① 明6-1③ (選手権:早74-10明)
2011 早18-16明 早5-2② 明5-2②
2012 早32-33明 早4-3④ 明6-1①
2013 早15- 3明 早6-1② 明3-4⑤
2014 早37-24明 早5-1-1② 明5-2③
2015 早24-32明 早4-3④ 明6-1①
2016 早24-22明 早6-1② 明5-2③
2017 早19-29明 早5-2② 明5-2②
2018 早31-27明 早6-1① 明5-2③ (選手権:早27-31明)
2019 早 7-36明 早6-1② 明7-0① (選手権:早45-35明)
2020 早14-34明 早6-1② 明6-1①
2021 早17- 7明 早6-1② 明5-2③ (選手権:早15-20明)
2002-2011の10年間は、早稲田が9勝、明治大は1勝のみ。しかし、2012-2021の10年間は、明治大5勝、早稲田5勝となっている。長い歴史で見ると、どちらかが数年単位で連勝していることが多いが、過去10年では3連勝はない。
さらには、近年では大学選手権での対戦が2018,2019,2021年度と3回あったが、早明戦で負けたほうが大学選手権で勝っており、近年の力関係が拮抗していることがうかがえる。
<参考>早明戦全記録
今季の6戦目までのデータ比較
ここまで6戦の明治大と早稲田、参考に帝京大も含めたデータを見てみると、攻撃面の数字で明治大が上回っていることがわかる。得点を1試合平均にすると、明治大が55.3点、早稲田が38.3点と17点の開きがある。
ただ、最後のFの数字で表される反則の数では、明治大の57に対し早稲田は44と少ない。早稲田がプレッシャーを与えられると、PGによる得点が増える可能性はある。
明治大 勝点24 得点332 失点78 50T 38G 2PG F57
早稲田 勝点23 得点230 失点94 35T 23G 3PG F44
帝京大 勝点30 得点392 失点56 59T 47G 1PG F47
FW平均体重
FW平均体重については、まだメンバーが発表されていないため、前節のFW平均体重を見てみたい。今季は両チームとも試合ごとに変化が少ないので、最終戦でも大きく変わらないものと考えられる。いずれにしても、大きな差はなく勝敗をわけるポイントにはならないだろう。
明治大 102.6kg
早稲田 104.5kg
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時間帯別トライ数
ここまでの6戦の時間帯別トライ数、失トライ数を調べた。
トライ数
明治大50(前半22、後半28)
早稲田35(前半12、後半23)
失トライ数
明治大10(前半 6、後半 4)
早稲田13(前半 4、後半 9)
明治大
明治大が数多くトライを奪ったのは、前半後半ともに終盤の31分以降に多かった。失トライのほうは、特定の時間帯に偏ることはないが、後半31分以降にトライを許していない。メンタル面の強さのほか、スタミナが豊富であることや途中出場の選手が機能していると考えられる。
早稲田
早稲田のほうは、トライは後半31分以降に集中している。この時間帯には日体大戦で6つなど下位チームからのトライも多いが、帝京大戦、慶応大戦でも1つずつのトライを記録している。失トライのほうも後半31分以降が最多、筑波大と帝京大に2つずつトライを許した。
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まとめ
伝統的には、早稲田はBK、明治大にはFWのイメージがあるが、近年の両チームは、FW、BKともにレベルが高く特別に偏りは見られず体格も差はない。また、各種のデータを見ると、それぞれ特徴はあるものの総合的には大きな差はなく僅差の熱戦が予想される。
明治大の対抗戦は、FWはなかなか揃わずメンバーを入れ替えながらの戦いとなったが、帝京大戦では苦しんだ。ただ、早明戦ではPR大賀宗志(4年,報徳学園)やHO紀伊遼平(4年,桐蔭学園)らが春シーズン以来の復帰となれば、チームに勢いを与えそうだ。BKは前節主将CTB石田吉平(4年,常翔学園)が3戦ぶりに復帰した。また、サイズもあり足技に長ける齊藤誉哉(4年,桐生第一)と廣瀬雄也(3年,東福岡)が膠着状態を打破するキーマンとなるか。
早稲田のほうは、FWはメンバーを固定して戦ってきたが、前節の早慶戦では今季No8を務めてきた主将の相良昌彦(4年,早実)をFLに戻し、FL村田陣悟(3年,京都成章)がNo8に。互いのよさが出る組み合わせとしてNo8には村田陣悟が入るのではないだろうか。BKはSOを固定できていないが、今季はトライを取れない時間帯が長く続くことが多かったので、この2戦のように吉村紘(3年,東福岡)がCTBに入るほうがチームに落ち着きが出るのかもしれない。
今季の早明戦は12/4(日)、2日前の12/2(金)に発表される出場メンバーに注目したい。